10年くらい前に、数日入院して大腸のポリープ切除手術を受けたことがある。病理組織検査では悪性ではないということだった。その後、3年前に大腸癌検診の便潜血検査で偽陽性となった。かかりつけ医が、確定するためには大腸内視鏡検査が必要だということで、近くの消化器を専門とする総合病院を紹介してくれた。検査を受けた結果、ポリープもなく異常なしであった。軽い痔の所見があるので、擬陽性はそのせいかもしれないということであった。それから3年が経過し、病院から定期検査の案内があったので受診することにした。
前日:
消化の良い食事であればいいのだが、病院から紹介された「ダルムスペース」という検査食を購入して食べる。朝食は温めるだけの和風がゆと即席味噌汁、昼食は中華がゆと即席すまし汁、おやつにソフトクッキーと無果汁の粉末ジュース、夕食はコーンポタージュスープのみである。1,154 kcalであり、日常の食事の量と比較すると量的にはとても少なく見えるが、意外とおなかはすかない。21時以降は絶食であり、水のみ自由に摂取できる。20時に下剤を飲む。ピコスルファート1本とセンノシド錠2錠である。ピコスルファートは腸管の蠕動運動を促進し、腸管からの水分吸収を抑制して便を柔らかくする。センノシドは小腸や大腸を刺激して排便を促す。これらを服用したが特別の変化もなく就寝した。
当日:
内視鏡検査は15時半からだが、医師の問診があるので15時までに病院に行くことになっている。
普通に起きるが、水以外は絶食なので何か物足りない時間を過ごす。昨夜の下剤の効果か11時半までに2回排便がある。下痢という感じではなく、柔らかな便で、穏やかな下剤効果だ。
11時過ぎに、指示通りに腸管洗浄剤モビプレップ(下剤)とガスコンの溶液を2リットル作る。モビプレップはナトリウムやカリウムを含む溶液で、腸管内容物を排除する。ガスコンは腸内のガスを排除する。11時半からモビプレップを飲みはじめる。13時くらいまでの1時間半の間に10分から15分間隔でゆっくりと1リットルのモビプレップと水を600ミリリットル飲む。大腸内視鏡検査を受ける際にこのモビプレップを飲むのがつらいという人もいる。私は過去何回か飲んでつらいと思ったことはなかったが、今回は最後の方はなんとなく気分が悪くなった。
13時くらいから排便が始まり、14時過ぎまでは10分間隔くらいにトイレに駆け込んだ。次第に水様便になり固形物は見られなくなる。途中からはもはや便というようなものではなく、まさに腸管洗浄剤である。動物は腸管を通過していく食物から栄養を吸収して生命を維持しているということを実感する。私には私固有の腸内細菌叢が形成されており、その中にはビタミンを作ってくれる細菌もいて、細菌とは共生していると理解していた。腸管洗浄剤で今までの細菌は追い出されてしまうだろう。新たな私の腸内細菌叢はどこから入ってきてどのように形成されるのだろうか、などと考える。
15時前に病院へ行き、すぐ内視鏡検査の部門へ行くように指示される。次第に間隔があいてくるが腸管洗浄効果はまだ続いている。受付を済ませ、検査が始まるまでにトイレに行っていいかと聞くと、排便があったら流さずに看護師に連絡するように言われる。ブザーを押すとすぐ看護師が来て、この状態なら検査大丈夫となる。
ロッカーの鍵を渡され自分の持ち物はロッカーに入れる。検査用のパンツと上着を着用するように言われる。パンツはお尻のところに大きな穴が空いており全体はすっぽりと大きく覆われるようになっている。上着もゆったりと作られており、両方合わせるとほとんど体の露出部分はなく、恥ずかしさを感じないように配慮されている。
検査台に横になり検査が始まる。医師の「カメラが入りますよ」という言葉の後、肛門を通過する際に痛いというほどではないが若干の違和感を感じた。そのあとは、「おなかが圧迫されるような感じがしますよ」とか「狭いところを通過しますよ」とかの声がかかり、私も「はい」とか答える。医師の問いかけがあると安心感があるが、沈黙が続くと、まずいものが見つかったのではないかなどと考えてしまう。看護師の声で「一番奥まで入りましたから、抜きながら見ていきます」との声がかかる。
その後、時々動きが止まる。医師から「ポリープが見つかったので取ります」の声、「はい」と私。医師が「ポリープを取ります」、看護師「ポリープを取ります」、それ以降ポリープを取って病理検査のために何番目の容器に入れるかなどの状況が、医師と看護師で復唱される。しばらくして同じやりとり、私は2個目だなと考える。このようなやりとりの後、検査は終わった。
起き上がって、写真を見ながら医師の説明を受ける。ポリープは3個見つかったとのことであり、病理検査に出すので、次回その結果を説明するとのことであった。写真で見たポリープはきのこ状ではなく割と平坦に見えたのでちょっと意外だったが、表面はきれいに見えたので、仮に悪性の細胞があったしても早期に見つかって切除できたのなら良かったと、勝手に解釈する。
それと憩室(消化管の壁の一部が外側に袋状に突出した状態)が一個見つかったという。便が滞留しやすく炎症が起こったりするが、薬などで治療することはできないという。写真を見せてくれたが確かに便の滞留なのか色が変わって見える。それと軽い痔の所見があるという。挿入時の違和感はそのせいだったのだろうか。
今日の検査は終了したが、看護師からポリープを切除したので、3日間はお酒を飲まないでくださいと言われた。検査が終わったら飲めると思っていたので、だいぶ、がっかりした。2週間後の診察で病理検査の結果がわかる。
以前の大腸内視鏡検査と比較して、今回は終了後疲れが大きかった。ポリープを取る分時間は長かったが、身体に対する負担が特別大きかったとは思わない。検査を受けるにも加齢とともに体力が落ちてくるのかもしれない。
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